なぜ自己制御ヒータは施工が楽なのか
その理由は「並列回路構造」にある
ヒートトレースの現場では、
「自己制御型ヒータの方が施工しやすい」
と言われることがあります。
確かに自己制御型ヒータは、
- 任意長さで切断できる
- 現場で長さ調整できる
- T分岐できる
- 重ね巻きできる
といった特徴を持っています。
しかし、なぜそのような施工が可能なのでしょうか。
その答えは、自己制御型ヒータの内部構造にあります。
自己制御型ヒータは並列回路
自己制御型ヒータは2本の導線の間に自己制御性発熱体が配置された構造になっています。
電流は発熱体全体を通して流れますが、発熱体は配線方向に対して無数の並列回路を形成しています。
イメージとしては、
━━━━━━━━━━━ 導線
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━━━━━━━━━━━ 導線
発熱体の中に、
小さな発熱回路が無数に並んでいる状態です。
そのため、
ある部分を切断しても残った部分は引き続き発熱できます。
なぜ切断できるのか
一般的なヒータは切断すると使えなくなります。
ところが自己制御型ヒータは、
━━━━━━━━━━━ 導線
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━━━━━━━━━━━ 導線
の構造なので、
途中で切っても
━━━━━━━ 導線
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━━━━━━━ 導線
として機能します。
つまり、
どこで切っても発熱回路が成立する
のです。
そのため現場で実寸を測りながら施工できます。
なぜT分岐できるのか
プラント配管は一直線ではありません。
例えば
一定出力型ヒータの場合、
長さと抵抗値が決まっているため、
途中から分岐すると設計条件が変わってしまいます。
一方で自己制御型ヒータは、
分岐部分へ接続キットを用いて電源を供給すれば、
新たな並列回路として発熱可能です。
つまり、
主配管
├─ ドレンライン
├─ バイパスライン
└─ サンプリングライン
のような複雑な配管でも対応できます。
これが施工自由度の高さにつながっています。
なぜ重ね巻きできるのか
バルブやフランジは直管部より熱が逃げます。
そのためヒータを余分に巻く必要があります。
自己制御型ヒータでは、
重なった部分の温度が上がると、
発熱体の抵抗が増加し、
出力が自動的に下がります。
つまり、
温度上昇
↓
出力低下
↓
発熱抑制
が自然に起こります。
そのため重ね巻きしてもオーバーヒートしにくいのです。
なぜ一定出力型ヒータではできないのか
一定出力型ヒータの多くは直列回路構造です。
イメージとしては
────────────
1本の長い抵抗線です。
この場合、
長さが半分になると抵抗値も半分になります。
オームの法則より、
I = V ÷ R
なので、
抵抗が小さくなると流れる電流は増加します。
結果として、
設計時よりも大きな出力になり、
過熱や焼損の原因になります。
そのため一定出力型ヒータは、
設計された長さで使用する必要があります。
現場が自己制御型ヒータを好む理由
実際の工事現場では、
- 配管長さの誤差
- バルブの追加
- 計装機器の追加
- 現地改造
が頻繁に発生します。
自己制御型ヒータであれば、
その場で
- 切る
- 延長する
- 分岐する
が可能です。
そのため工事会社や施工管理者から高い評価を受けています。
施工しやすいからこそ設計が重要
自己制御型ヒータは施工自由度が高いヒータです。
しかし、
- 維持温度
- 外気温
- 配管径
- 保温厚み
- 防爆有無
によって必要な熱量は変わります。
施工が容易だからこそ、
最初の熱設計が重要になります。
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